
内容盛り沢山だった南三陸町移住体験ツアー。
参加中も含め、帰ってきてから3日ほどかけて情報を整理していました。
ご存知のように南三陸町は2011年の東日本大震災で甚大な被害を受けた町です。
その町が、未来を見据えてパワフルに活動する様子の一部をお伝えするのですが、そもそも、なんでこれをやっているの?というベースのところを僕が理解できていなかったかな。
農業体験あり、カキ養殖の説明あり、バイオマス関連施設を訪問し...
この小さな町でそれらがどのように繋がっているのか?
これを理解することが肝心だと思いました。
じゃないと全部バラバラに見えてくる。
ってか、行く前に基礎知識として学習してもっていけよ!って反省しました。
引き継がれる意思
南三陸町が自然との共存共栄という方向に舵を切ったのは、東日本大震災で破壊された後の町をどう再建していこうかと考えたのが契機だったのではないか?当初はそのように思っていました。
しかし違った。ぜんぜん浅かった。
この町は以前からそんなのは当たり前と言わんばかりにその方向を目指していたようです。
南三陸町総合計画pdf
「自然・ひと・なりわいが紡ぐ安らぎと賑わいのあるまち」
2007年に作られています。
少子高齢化や地方分権社会に対応すべく、地域の独自色を打ち出した計画ですね。自然環境との調和をはかりながら、ゆったりとした町を作っていこうという空気が伝わってきます。この段階では、よくある地方の小さな町のこじんまりとした守りの政策という感じです。
南三陸町震災復興計画pdf
2011年3月の震災発生により、総合計画で計画した町づくりが困難となりました。
2012年12月、町は南三陸町震災復興計画を策定、被災者への生活支援と自立への援助、ライフラインの復旧、防災機能の回復、雇用、産業、病院、学校の復旧、そして行政機能の回復復興を最優先することを決めました。
目標1「安心して暮らし続けられるまちづくり」
目標2「自然と共生するまちづくり」
目標3「なりわいと賑わいのまちづくり」
それら最優先事項を実施しながらも、南三陸総合計画の流れを汲み取り、3つの目標を掲げて実行しています。
そして2016年、今年ですね、復興計画を継承するかたちで発展を目指し第2次総合計画ができました。
こういった経緯があって今の活動があるという背景を理解していないと、何も見えなくなってしまうし、全体を無視した利己的な活動が幅をきかせることになりかねないですよね。
南三陸町第2次総合計画pdf
「基本構想」「基本計画」「実施計画」で構成され、具体的なアクションまで詳細にまとめられた計画になっています。
まちの将来像「森里海ひと いのちめぐるまち 南三陸」を実現するためには、プロジェクトやアクションの連動性を確保すると明言していますね。

すごいぞこれ!
これだけのことを実現するとなると、ぶっちゃけ人が足りないんじゃないかなって心配です。
今回、われわれが移住体験ツアーで見たのはごくごく一部でしかありませんね。
全ての人々がお互い様で結ばれる町
町の周囲を分水嶺に囲まれた土地、長い海岸線、数多い港、77%を占める森林、土地の特徴をフル活用した形での町再生と産業の育成、そして人々の生活。
自然と共存しながらの生産活動を行うには、そこに暮らす人々のコンセンサス、協力が絶対不可欠になるものです。
三陸というと、どうしても海がメインになりそうですが、その海でとれる海産物を育んでいる栄養価の高いきれいな海は、町の面積の77%を占める森林がもたらしているんですね。
山に降った雨が沢を下り、地中にしみこみ、川になり、畑を潤し、そこでとれた農産物、畜産物を人々が食し、そしてまた土に帰り、海へと流れていく。
360度ぐるっと見渡せば疑う余地がない。
見渡す限り視界のほとんどが森林です。
山があり、里があり、海がある。その一つ一つがバラバラになることなく、連携することでうまれる高度循環型の社会。
これって昔の日本ではあたりまえだった社会なんですよね。
江戸はその完成形とまでいわれていたようです。
しかし人々の生活様式の近代化、欧米化によって循環型の社会は消滅してしまった。
ですが今、形を変えて新しいスタイルとなって実現を目指す町がある。
南三陸だったら実現可能かもしれないなと思います。
海で働く人々も、里で暮らす人々も、山を意識することで成り立つ社会。
けっしてバラバラじゃないからこそ可能な、新しい生活様式。
洗い流されるように価値観が変わっていく
南三陸に限らず、地方の町は都会でいうところの便利というものとはほど遠い生活になると思います。
けれど、そもそもその便利は本当に必要なものなのか?あったらいいながあるだけで、便利という感覚自体が幻想なのではないのか。
必要なければそれは便利もなにもあったもんじゃないし、気持ちのありようでしかないのではないか。
そんなふうに思えたのも、久しぶりにローカル特有の価値観に触れたからなのかもしれない。
三陸がもつ自然との共生を軸とした「三陸ローカル」の生き様。
震災という大自然の猛威に蹂躙されたけれど、自分らはそんな自然とともに生きているんだよという、ぶれない強さに触れて、洗い流されるように僕の中の価値観が変化していくのを感じています。
これはもう1回行かないとダメだね。
テーマを絞って、深く話を聞きにいこう。
明日は、命を守る土地利用についてお伝えします。
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