2 公平な評価
仕事に対する報酬というものに、物的な側面と精神的な側面との2方向からFocusしました。やった人はやっただけ、やらない人はやらないだけの評価にこだわりました。
ただし特定の人間による評価は避けました。MGR全員による評価で平均を出す手法はほぼ完成、あとはこのシステムを使って評価する人たち=MGRの問題です。
wrote:工藤信一 1997.11.27
仕事をしていただくということは、やっていただいた仕事を評価することになります。
当たり前ですよね。
けど、この当たり前のことができていない会社が多いこと多いこと。
「やって」って言ったらあとは放ったらかしだとか、
仕組みはあるけれどやっていないとか、
一部の人間たちが仕組みを悪用して私服を肥やすとか、
あげたらきりが無い。
それもこれも評価が報酬に直結するものであり、人間の欲求に近いところにあるものだからですね。
仕事ってのは本当は「良い仕事をすること」が目的です。
なのに正しい評価がなされないことによって、目的がお給料をもらうことにひっくり返っちゃうのだと思います。
「別にこの仕事でなくたっていいし、仕事なんてお金を稼ぐ手段だよ」
って言う意見、わかります。
それはそれで正しい。それがその人の仕事に対しての価値観なら異論はありません。だとしても、やっていることは正当に評価してもらいたいと思いませんか?
やっていない人と同じお給料なのはイヤじゃないですか?
そういう不平等をなくすためにも評価って大事なんです。
評価ってのは組織によるもの
なにかと不公平だと不満が出やすいのが評価です。
誰さんはA主任に気に入られているからとか、誰さんは将来が約束されているエリートだからとか、
マネージメントからすれば実に面倒くさい。
そもそも組織内で評価を公平に行うことは障害が多いものなんです。
ただし勘違いしてほしくないのですが、それは仕組みに問題があるのであって、人に問題があるのではないんですよね。
どういうことか?
好き嫌い、合う合わないがあるのは当たり前です。にんげんだもの。
評価するのもされるのも人ですもの。
また、この上司の時には上手にできるのに、あの上司のときにはなんだかわからないけれど仕事がうまくいかない、なんていう相性の問題もあります。
人対人の活動である以上は、人任せにしていれば不平不満、不平等の温床になるのは当たり前なんです。
けれど、そういうのを放っておいたらいずれ機能障害を起こし、やれることもやらない、できることも割が合わないからやらないって人が出てくるようになる。
その段になって「あいつは怠けモノだ!」とか鼻息荒く言ったとしても、そういうモンスターを作る原因はマネージメントがやるべき評価を正しく行わなかった、つまりマネージメントの怠慢それ以外に理由なんてないんですよ。
それを防ぎ、企業や組織、店舗の活動を正常に機能させるためには「評価」というプロセスは重要ですし、そのやり方、仕組みも大事になります。
マネージメント全員による評価
ですので千葉中では10人のMGRで、スタッフ全員を評価するという形をとり、アベレージ値をもちよって評価会議をしていました。
評価項目とかのテンプレートだけは準備して、あとは総出で評価です。
マックが会社で準備していたフォーマットもあったのですが、通り越して独自の進化をしていました。
僕は評価というプロセスが、店作りや人材育成において大きなウェイトを占めると考えていました。それに共感してくれたマネージャーチームの全面協力のおかげで実現したのだと思います。
3ヶ月に1回の実施でしたが、大変な仕事でしたよ。
それでもね、20歳になったばかりくらいの学生マネージャーたちが夜遅くまで真剣にスタッフを評価している姿を見ていると
「オレの店って、いい店だなぁ」
って思えて嬉しくなったものです。
評価は感謝の証
ちなみにあなたは自分の部下、自分のところで働いているスタッフ全員の良いところを言えますか?
自信をもって「彼はこうです」って言えないとしたら、あなたが現場にいる価値=ゼロです。
それはなぜか?
評価には最も大事なことがあります。それは
マネージメント側の評価スタンス
おうおうにして粗探しをする方がいるんですよ。
ってより上司はそういうものだって思っていない?
ほんととんだ勘違いだわ。
だれそれはあのときにさぼっていたとか、
だれはあの日手を抜いていたとか
だれさんはAさんのとき以外は適当だ
それやりだすと、店や組織は絶対によくならない。
全体がそういうスタンスで仕事を見るようになると、スタッフも次第に行動が萎縮していってしまいます。ミスをしないように、叱られないように人の顔色を見るようになるし、のびのび仕事できないし、成長も抑制されてしまいます。
そうじゃない。
マネージメントはよい仕事ぶり、働きぶりを見つけるために現場に入らなければならない。
良いところを探すんです。
必ずあります。
というより...
あなたの視点の問題なんですよ。
あいつは勝手なことばかりしやがる!⇒ 転じて: 彼は自分の考えをもって行動している。
あいつはなんかテンション低い⇒ 転じて: 彼は常に落ち着いている
など
1人で評価しても視点を変えただけで見え方が違ってくるんです。自分にバイアスがかかっていることだってあるんです。
それを複数で評価すると、こんなことも。
Aマネージャー:Cさんは笑顔がない
Bマネージャー:Cさんはいつも笑顔だ
Dマネージャー:Cさんはいつも笑顔だ
Eマネージャー:Cさんはいつも笑顔だ
これはCさんではなくAマネージャーに問題があるケース。
CさんはAマネージャーが苦手なのか、AマネージャーがCさんを嫌っているのか、それともCさんがAマネージャーのことが好きだけど空回っているのか、なんにしてもコミュニケーションに問題あるんでしょうね。
こういうの見つけたときが店長の出番なんですよ。
ね、楽しいでしょ?
今これ書いていてもワクワクする。
粗探しばっかりしていたらこんな楽しいことにも気がつけない。
店長もマネージャーもスタッフも、それにそんな店で買い物をするお客様も不幸ですよね。
1、マネージメント全員で1人のスタッフの仕事ぶりを評価する。
2、評価をすりあわせする
3、素晴らしかった仕事ぶり/成長のための課題を話し合う
4、担当マネージャーによるフィードバック面接で感謝を伝える
そう、感謝を伝える、これが大事なんですよ。
「今期も素晴らしい働きぶりでしたね。ありがとう!」
ってマジで伝える。
きちんとした評価の仕組みを運用するのはスタッフに感謝するため、その上できちんと言葉で感謝を伝える。
公平をキープするにはこれしかありませんでしたね。
マネージャたちが激論を交わしていることもありましたよ。若いですからね。
けど、そうやって自分の仕事をきちんと見てくれている人が沢山いて、ここはこうしたほうがもっといいよって言ってくれる。
それによってスタッフは心配なく仕事に集中できる。
するともっと良い仕事ができるようになる。
するとほめられる。
すると嬉しくなる。
するとさらによい仕事ができるようになる。
するとお客さんも喜ぶ。
そういうお店、売上や利益、スタッフィングがどうなっているでしょうか?
答えは言うまでもありませんね。
まあ売上や利益ってのは結果でしかないんですけれど。
これ読んだ方は良い機会です。ご自身の組織の評価のやり方を見直してみてはいかがでしょうか?
次回は組織のフラット化です。
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